電動丸ノコ用の「チップソー」について

種類・選び方・注意点を整理します。用途に合うものを選べば切れ味・安全性・効率が大きく変わります。

チップソーとは何か

簡単に言うと、丸ノコ（電動丸ノコ）の刃で、「刃の周囲に硬いチップ（超硬合金など）が付いている」ものをチップソーと呼びます。木材だけでなく、金属・プラスチック・石膏ボードなど用途によって使い分けが可能です。

用途別に大きく分けると、以下のような種類があります。

用途	特長・構造
木材用	一般的な木材切断用。刃数・歯の角度が「切断の速さと切断面の美しさ」のバランス重視。
精密仕上げ用	刃数が多く、切断面をきれいにしたい合板や家具部材などに適している。
粗切り用	切断速度重視。刃数少なめで刃厚があるもの。構造材や仮切り用など。
金属用（鉄工用、ステンレス用など）	耐熱性・耐摩耗性が高い刃材、チップ形状・歯の角度が金属切断に適したもの。木用とは仕様がかなり異なる。
石膏ボード・プラスチック用	刃の角度が鋭くて切断抵抗が小さいもの。粉塵対策・切断面の破損を抑える設計。

選ぶときにチェックすべき仕様・条件を以下にまとめます。使う丸ノコや用途に合っているかどうかをよく確認してください。

項目	内容
外径（刃の直径）	自分の丸ノコが対応するサイズでなければ装着できない。
内径（アーバー径／取付穴径）	刃の中心の穴の径。軸径に合わないとブレたり固定できなかったりする。
刃数（P）	少ない → 切るのが速く、荒れやすい。多い → 切り口がきれいだが切断が遅くなる。
刃厚	厚いと耐久性・安定性があるが切断抵抗が大きくなる。薄いと抵抗少ないが歪みやすい。
刃の形・角度・歯のタイプ	縦切り・横切り・合板用などで歯の形が違う。切断対象に適したものを選ぶべき。
コーティング・材質	超硬チップ (TCT：Tungsten Carbide Tipped) 等が多い。耐熱・耐摩耗性が高いものが良い。

適切なチップソーを使えば以下のような利点があります：

商品	仕様例	特長	価格帯・おすすめ用途
Iwood 厚刃ホワイトフッ素チップソー 165mm×52P	外径165mm／52歯／刃厚1.65mm／内径20mm	フッ素コーティングで摩擦を軽減。刃厚しっかりでブレに強く、切断の直進性が高い。集成材・一般木材に向く。	約 ¥1,900〜¥2,500 程度。中価格帯で「切れ味と耐久のバランス重視」の方におすすめ。
丸ノコチップソー木工用 165mm 54P（Rebuild Store）	外径165mm／54歯／鋸身厚1.0mm／刃先1.6mm	歯数が多めで比較的切断面がきれい。薄めの鋸身で切断抵抗低め。コスパも良好。	約 ¥2,000前後。DIY用途・頻繁には使わないが見た目重視、仕上げ用途に向く。
マキタ鮫肌プレミアムホワイトチップソー A‑64369（165mm／55歯）	165mm／55歯	純正刃。「鮫肌」シリーズで切断抵抗が低く、切れ味・静粛性・仕上げ面の美しさが良い評判あり。	やや高め。コストをかけてでも仕上がりと使い心地を重視したいプロ・趣味ユーザー向け。

用途によって「何を重視するか」が変わるので、それに合わせた仕様例を以下に。

用途	重視すべき仕様	目安例
一般木材をたくさん切る／コスパ重視	刃数 ≒ 30〜50P、刃厚少し厚め（鋸身・刃先）、耐久性重視	例えば30〜40歯で鋸身・刃先厚めタイプ
仕上げ・合板・家具材など切断面の美しさ重視	歯数高め（50〜60P以上）、薄刃、コーティング付きモデル、鮫肌やスリット入りのもの	上記「Iwood 52P」や「純正鮫肌55P」等
薄板・バッテリー式丸ノコ使用	鋸身・刃先を薄め、刃数中〜やや多めで抵抗少なくするもの	薄刃タイプ、刃厚1.5mm前後／刃先を薄く研ぎやすいもの
切断抵抗・騒音・振動を抑えたい	スリット入りモデル・刃材の精度が良いもの／純正モデルが無難